よくあるご質問

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急に胸が痛む ~気胸~

2016年11月9日

質問

22歳の男性です。昨日から突然、息をするたびに胸に痛みが出るようになりました。一日様子を見ましたがよくならず、息苦しさや咳(せき)も加わってきました。発熱や痰(たん)はありません。

回答

胸の痛みの原因となる病気は数多くあります。特に、心筋梗塞(こうそく)や大動脈解離、肺塞栓(そくせん)などは急激に病状が悪化して命にかかわる病気ですが、この男性の場合、比較的痛みは軽く、一日たっても息苦しさや咳がでてきている程度で、さほど重篤(じゅうとく)感はありません。お話だけで診断をつけるのは困難ですが、気胸(ききょう)という病気の可能性があります。

気胸とは簡単にいえば肺がパンクした状態です。肺は胸腔(きょうくう)というろっ骨に囲まれた胸の空間に、すき間なく膨らんだ状態で存在します。それが何らかの原因で突然肺に穴が開き空気が漏れて、肺が縮んだ状態が気胸です。原因として、肺に嚢胞(のうほう/ブラ、ブレブ)という薄い穴の開きやすい風船のような袋があって、その部分に穴が開く場合や、事故などの外傷によって穴が開く場合、または肺気腫(きしゅ)や肺がんなどが原因のこともあります。

この男性の場合は、袋が破裂した自然気胸と呼ばれるものと思われます。自然気胸は、長身で痩せ型、平らな胸の比較的若い男性に多いとされています。症状はたいてい突然胸が痛むほかは呼吸困難や咳などをともないます。まれですが運悪く両側同時に起こった場合は息ができなくなり命にかかわることもあります。治療は、軽度のものは安静のみでも治癒しますが、肺の縮み方がひどい場合には、胸に漏れた空気を抜くための管をさしこみ、機械で持続的に空気を吸引して肺を広げる胸腔ドレナージという治療が必要になります。それでも空気の漏れが止まらない場合には手術となります。また気胸は、再発の多い病気で、明らかに破裂しそうな袋が確認できる人や再発を繰り返す人は手術を勧めます。

以前は、胸を切開する手術で袋を切除していましたが、最近は胸に約2センチ程度の穴を3、4ヶ所開けて行う胸腔鏡手術が主流となっています。この手術の利点は痛みが少なく、早ければ手術後数日から1週間程度で退院が可能なことです。

気胸はいつ起こるか予測がつかず、喫煙者には禁煙を勧める程度しか予防法がありません。しかし、軽度でもレントゲン写真を撮れば診断がつき、早めに治療すれば恐れる病気ではありません。この男性も早めに受診されることをお勧めします。

(リビング広島2004年3月13日掲載)

 

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