30代の女性です。お酒もあまり飲まないし、太ってもいないのに職場の健康診断で脂肪肝と言われました。放っておいても良いものなのでしょうか?
脂肪肝は、成人男性の3人に1、女性の5人に1人が患者で、予備軍は2人に1人という最も多い肝臓の病気です。脂肪肝は良く知られているように食べ過ぎによって起こるのですが、必ずしも油ものだけが原因ではなく、甘いものも過剰な糖分が肝臓で中性脂肪に合成されるため原因となります。またお酒の飲み過ぎも、肝臓がアルコールを分解するときに同時に糖分から中性脂肪を合成する働きを活発にするため脂肪肝になります。さらにあまり知られていない原因の一つに無理なダイエットがあります。飢餓状態になると体中の脂肪は肝臓に送り込まれてエネルギーになろうとするのですが、肝臓も栄養不良で脂肪をエネルギーに変える力を失っているため、集まった脂肪が貯まってひどい脂肪肝になってしまいます。
脂肪肝は動脈硬化と密接に関係していて心筋梗塞など死に至る病気の確率が正常の人に比べ2倍になるという報告もあります。また脂肪肝は今までずっと医師の間でも良性の病気だと思われてきました。ところが最近、脂肪肝から肝炎が起こり、肝硬変、肝臓癌へと進行していくものがあることが分かり、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)という病気として認められました。これは脂肪が貯まることにより肝細胞の中のミトコンドリアという器官が壊れて起こることが分かっています。我が国では推計で約100万人の患者がいると言われています。この病気は最近やっと肝臓の専門家以外にも知られるようになってきた新しい病気です。
脂肪肝は血液検査では見つかりません。コレステロールや中性脂肪の値が高くても必ずしも脂肪肝とは限りませんし、肝機能の数値が正常の脂肪肝もあります。診断は超音波検査(エコー)を行う必要があります。専門医の先生と相談し食事や運動の指導と定期的な検査を受けられることをお薦めします。
(Wendy広島2003年7月掲載)
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