よくあるご質問

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大腿の付け根がふくらむ ~鼠径(そけい)ヘルニア~

2016年11月9日

質問

55歳、男性。左の大腿の付け根がふくらみ、痛みも出てきたので近医を受診したところ、鼠径ヘルニア(脱腸)と言われました。最近では、ふくらみがじゃまになって歩きにくくなり困っています。

回答

ヘルニア(脱腸)とは、お腹の壁(筋膜)の弱いところから、本来ならお腹の中にあるはずの小腸などの臓器が皮下に出て膨らむ病気です。ももの付け根の筋膜から脱出する場合を鼠径(そけい)ヘルニアと呼んでいます。患者さんは乳幼児から高齢の方まで幅広く分布しますが、成人では大腿の付け根の筋膜が弱くなる40歳以上の男性に多い傾向があります。小児では先天的に腹膜の袋(腹膜鞘状突起といいます)が残ったことが原因となります。症状は、立った時、お腹に力を入れた時、泣いた時(小児)など腹圧のかかった時に、大腿の付け根の皮下にやわらかい腫れができます。普通は指で押さえると引っ込みます。急に硬くなり引っ込まなくなることもあり、嵌頓(かんとん)といいます。この場合、急いで手術しないと命に関わることもあります。同じ部分にできても他の病気もあります。

ヘルニアは自然には治りません。治療には手術が必要になります。嵌頓を起こす前に手術すれば、比較的簡単に直ります。同じ鼠径ヘルニアでも、年齢や脱出の場所によって様々な種類があり、種類に応じた手術法が必要です。大きく分けて、自分の組織だけで修復する方法(緊張性修復法)と、補強用のシートを使って修復する方法(非緊張性修復法)があります。

最近の手術方法では再発が少ないのですが、それでも1%弱の再発の可能性があります。「再発鼠径ヘルニア」といいます。このような患者さんに対する再手術は非常に難しく、特に男性では再手術によって精索(精管や精巣動静脈)を傷つける可能性があるため、補強すべき筋膜へのアプローチ法を変更する必要があります。外科のあらゆる領域で最近普及している内視鏡手術の技術を応用するのが有力な手段です。専門的治療を必要としますので、外科のなかでもヘルニア専門医にご相談されることをお勧めします。広島市立舟入市民病院では「ヘルニア専門外来」を設けて積極的にヘルニア治療に取り組んでおります。

手術の安全性や術後の安心のために、入院期間は小児では1泊2日、成人では1泊から4泊程度の入院が適切です。手術の翌日には入浴できます。また、日常生活(散歩、軽い運動)やデスクワークなどの再開は、個人差がありますが、通常1週間が目安となります。術後3週間を過ぎれば、ゴルフなどそれほど激しくない運動も再開することができます。

(Wendy広島2003年7月掲載)

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