18歳の男性です。3日前からお臍(へそ)から下腹部にかけて痛くなり、お臍が腫れています。昨日から悪臭のある分泌を認め、微熱もあります。
お臍の細菌感染(炎症)と考えられます。臍が化膿する病気として、臍炎(さいえん)、臍肉芽腫、臍腸管遺残(さいちょうかんいざん)、尿膜管遺残(にょうまくかんいざん)などがあります。前の二つは新生児期から乳児期にかけて発症し、後ろの二つは年長児から成人期まで発症します。
この方の場合は下腹部まで痛みがあることから、尿膜管遺残やそれによる化膿性尿膜管嚢胞などが最も疑われます。生まれた後には消えてなくなるはずの胎児期の尿膜管という器官が残っている病気です。痛みや発熱の他に、臍から悪臭のある分泌物や膿がでることもあります。また、膀胱との交通がある場合には汚れた尿がでたり、腹部の腫瘤(しゅりゅう)として発症することもあります。急性虫垂炎、臍腸管遺残、腹腔内膿瘍、骨盤内膿瘍などの病気との鑑別するために、腹部超音波検査やCT検査などが必要です。
治療としては、まず排膿切開と抗菌薬の投与を行います。適切な排膿処置を行わずにいると膿瘍が腹腔内に破裂して腹膜炎になったり、腸管との間にトンネルができたりすることもあります。切開排嚢だけでは約三割が再発することや、残った尿膜管が悪性化する危険性がありますので、原則的には手術による尿膜管の全摘出が推奨されます。お臍の炎症が長引いた場合は、消化器外科や小児外科にご相談されることをお勧めします。
(リビング広島2003年10月11日掲載)
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