赤ちゃんの機嫌がいつまでも悪く、おむつを交換していて、肛門の周りが腫れていることに気づきました。
肛門周囲膿瘍(のうよう)が考えられます。主に生後1~2ヵ月の赤ちゃんに発生します。95%以上が男児で、女児には極めてまれですが、この理由は良く分かっていません。母乳栄養で、便正常が水っぽい赤ちゃんによく起こります。
肛門小窩にある肛門腺から便中の細菌(大腸菌など)が感染して、肛門から少し離れた所、その多くは左右側方(3時、9時の方向)に膿瘍をつくり赤く腫(は)れます。こうなると、赤ちゃんは痛みのためにちょろちょろ少しずつうんこをしたり、泣いたりするようになります。
この時期には早期に局所麻酔下で膿瘍を切開してやらないと、熱が出たり重症になる恐れがあります。切開後は炎症が治まる(赤い腫れが退く)まで1週間は、1日おきに切開した所から膿を出してやる必要があります。1、2週間すると腫れがひき、切開した所から自然に膿が出るようになります。この状態を痔瘻(じろう)と呼びます。
一次孔と呼ばれる肛門腺の所から細菌が入らなくなると痔瘻が治りますが、これには数カ月かかることもあります。この間は1~2週間おきに切開した二次孔が閉じないようにしておく必要があります。いったん二次孔から膿が出なくなり治ったように見えても、風邪をひいて下痢をした時などに再発することがあります。離乳食を始めて便が硬くなると、たいていは1才ごろまでに治ります。ご心配な方は、小児外科医に相談してください。
(リビング広島2003年9月13日掲載)
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